第4話

次の日曜日、守とオグケンと中村を呼び出した。
俺は、ファミレスでみんなが来るのを待っていた。
最初に来たのは守だった。
「お前・・子持ちを日曜に呼びだすなよ!出てくるの大変なんだぞ!!」
開口一番、守が言った。
「わりぃわりぃ・・・」
そう言うと
「嫁には俊太郎連れてけって言われてたんだけど、うまく逃げて来たよ。」
俊太郎って言うのは小一の守の息子だ。
「俊太郎も連れてくればよかったのに・・・」
「あいつと一緒じゃ、思いっきり羽のばせないだろ。」
「いやぁ・・別に羽のばすような事する気無いし・・・」
「なんだよ・・・てっきり・・・」
どんな事やる気でいたんだ?
そうこうしてたら、オグケンと中村がやって来た。
「遅くなってスミマセン。」
オグケンは相変わらず、すまなそうに言った。
それに引き換え中村は
「折角の休みに何の用よ!?くだらない事だったら許さないわよ!」
と女王様的発言をする。
中学の頃もこんな性格だったかな?それとも歳とったからか?
ったく・・この間、苦労して連れて帰った恩義とか感じて無いのかよ・・・
とりあえず、それぞれが注文し終わったので、俺は話しを始めた。
「みんなでロボット造らない?」
その言葉に、全員の反応は同じだった。
「はぁ?!」
みんな俺が何を言っているのか理解できないようだ。
そりゃそうだ・・・
いきなりロボット造らない?って言われて、ハイそうですかって奴は居ないだろう。
俺は先日の部長の話をして、なぜ俺がロボット造ろうって思ったかを説明をした。
「確かに面白そうな話だけど、本当に僕達がロボットなんて造れますか?」
オグケンが不安そうに聞いた。
「わかんない…」
俺がそう言うと
「言いだしっぺが、わかんないじゃどうすんだよ?!」
責めるように守が言った。
「わかんないから面白いんじゃない?最近わかんない事とか出来ない事をやる事ってないだろ?
 出来るかどうかはやった結果だよ。ようはやるかやらないかだよ。やってみない?」
みんな黙っていた。
やっぱ、こんな話し乗ってくれないかな…
「で、どんなロボット造ろうってんだ?ガンダムか?」
守が言った。
「ガンダムは無理ですよ。ロボットの規格とかあるんですか?」
オグケンも聞いてきた。
「私は何すれば良いの?お茶くみとか嫌よ!」
中村は変わらずの高飛車な発言だった。
「それじゃ・・・みんな、やってくれるのか?」
俺が聞くと
「いいから、詳しく教えなさいよ!」
中村には、なぜか上から言われる。
何はともあれ、みんなこんなふざけた話しにのってくれたのが嬉しかった。
「それじゃ詳しく、この競技会の説明するな。」
俺は説明を始めた。
「まず、この競技会は脚・腕構造を持つラジコン型ロボットでスピード・パワー・運を競うんだ。」
「運?」
守の疑問を無視して説明を続けた。
「まず、スピードを競う競技は、2m先にある箱を倒して、戻ってくるまでのタイムを競う競技だ。
 順位が早いほどポイントが高くなる。」
「それで箱を倒す為に腕が必要なんだ。」
また、守が言った。
俺はさらに続けた。
「次にパワーを競う競技は、2分以内に台車にオモリを乗せて2m運び、そのオモリの重量を競う競技だ。
 運んだオモリの重量が重い順にポイントがもらえる。」
「スピードとパワーって相反する事を競うんですね。」
かみ締めるようにオグケンが言った。
「そんで最後の競技は、六角形のリングの各頂点に箱があって、そのうち3個の箱をロボットに倒させるんだ。」
そう俺が言うと、すぐに守が
「それのどこが運を競う競技なんだ?」
もっともな疑問だ。
「3個倒したのが早い順にポイントが高くなる。で、6個の箱のうち正解の箱が3個あって、
 倒した3個の箱で3個当たればそのままのポイントがもらえ、2個なら0.75倍、1個なら0.5倍、
 0個なら0ポイントとなるんだ。」
「早く倒せればポイント高くなるけど、箱の正解数によっては0になるって事ですね。」
オグケンは理解したようだが
「えー・・・と・・・」
中村はイマイチ理解できてないようだった。
「早く倒して高いポイントを得て、なおかつ正解を倒さなければならないって事ですよ。」
オグケンが説明してくれた。
「だって正解の箱がどれだか分からないじゃないの?」
中村が聞いた。
「だから、運って事になるんだな。」
守が言った。
「その3つの競技の総合ポイントで予選の順位を決めて上位24台が本戦に進める。」
「本戦はどんな競技なんだ?」
守が聞いた。
「総距離10mのコースにある色んなミッションをクリアーしてゴールする障害物競走みたいなものだ。
 コースの仕様やミッションは予選終了後に発表されるらしい・・・」

「ロボットの規格はどうなんですか?」
オグケンが聞いてきた。
「前にも言った通り腕と足構造があることだそうだ。部長の会社のロボットは昆虫みたいなやつだったよ。」
「って事は車輪で動くのはダメって事ですね。」
オグケンが聞いてきた。
「そう言う事。それと使える動力・・つまりは使えるモータは決められている。」
「つまり、参加者は同じエンジンで競い合えって事か。」
守が言った。
「エンジンって・・・・まぁそう言う事だ・・・続けるね。」
みんな俺の話しを真剣に聞いてくれていた。
「ロボットの規格は、長さ35cm幅25cm 高さ70cm重量3500g以内の事。
 まぁ・・・脚機構と腕機構については細々書いてあるけど、この辺は追々って事で・・・
 俺もまだ完全に理解出来て無いしね・・・」
「後でその辺の資料を下さい。僕なりに研究してみたいので。」
オグケンが言った。
「そっか・・・オグケンは設計の仕事しているんだもんな。それじゃ機体の設計について任せるよ。」
オグケンはうなずいた。
「それじゃオグケンの設計図が出来たら、みんなで集まるって事にしないか」
守が言った。
「了解!ほんじゃオグケン頼むな!」
俺はオグケンに言った。
「じゃぁ前祝いって事でパァーってやろうぜ!」
守が嬉しそうに言った。
それが目的かよ!
「毎回、飲むのが目的にならなければよいけどね・・・」
中村が呆れて言った。
が、結局みんなで飲みに行く事となった。