最終話

俺がいつもの居酒屋に着くと、オグケンと中村が来ていた。
「よぉ!」
俺が挨拶すると
「この度はおめでとうございます。」
とオグケンが丁寧に挨拶してくれた。
なんか照れくさくなり
「そんな改まって言わなくたって良いよ!」
俺はそう言った。
「私もさっき挨拶されて、同じ事言ったんだけどね。」
と中村は俺に耳打ちした。
それからしばらく3人で喋っていたのだが、守が一向に来なかった。
「何だよ!言いだしっぺが遅刻か!?」
と俺が言うと
「でも珍しいよね。飲み会大好きの鈴木君が遅れるなんて・・・」
中村はちょっと心配そうに言った。
「鈴木君、みんなに重大発表があるって言ってましたよ。」
オグケンが言った。
「何?重大発表って・・・」
中村が聞いた。
「さぁ・・・?」
オグケンも聞いていない様だった。
俺は携帯を取り出し、電話しようとしたら守が店に入って来たのが見えた。
「ごめん!ごめん!」
守は、そう言って慌てて席に着いた。
全員そろったので、とりあえずビールを頼んだ。
「で、重大発表って何だよ?!」
俺は聞いた。
「お楽しみは乾杯の後で・・・」
と守が言った。
「もったいつけるなよ!」
そんな俺の言う事を無視して、守はグラスを持って
「それじゃ、まずは高志と中村・・おっと真紀子さんと言わないとまずいか。」
と言った
「いいわよ、中村で・・・」
と中村は照れながら言った。
「まぁ・・とにかく二人の婚約を祝して乾杯!!」
と守が乾杯をした。
「ありがとう!」
俺と中村はみんなにお礼を言った。
そしてビールを飲んでから
「で、何だよ?」
俺は守に聞いた。
「フフフ・・・」
守は薄ら笑いを浮かべて、自分のカバンを漁り始めた。
そして、プリントアウトした紙を出してきた。
「TVの企画なんだけど、等身大の二足歩行ロボットによる格闘競技の
 出場者を募集しているんだよ。」
と守が説明した。
「等身大って人間と同じ大きさですか?」
オグケンが聞いた。
「150cm以上だって。」
守が答えた。
「この間やっていた映画みたいなのやる気なのかよ・・・」
俺が言うと
「イメージ的にはそうじゃない。」
守が言った。
「で、鈴木君がこの話しを持って来たって言う事は・・・」
中村が聞くと
「当然!出場しようぜ!!」
守が胸を張って言った。
「ちょっと待てよ。二足歩行ロボット・・・しかも等身大だぞ。」
俺が躊躇すると
「“出来るかどうかはやった結果だよ。ようはやるかやらないかだ!”
 って言って、俺達をロボット製作に誘ったのはどこのどいつだよ!」
と守に言われた。
「そうだけど・・・実際、造れそうか?」
俺はオグケンに聞いた。
「難しいと思います。」
そのオグケンの答えに、やめた方が良いと言おうと思ったら
「だから面白いんじゃないですか!」
とオグケンは、目がキラキラさせて言った。
「だよな!やろうぜ!!」
守もやる気満々だった。
どうやら一番保守的になっていたのは俺だったようだ。
中村を見ると、笑顔でうなずいていた。
「よし!やってみるか!!」
俺は、そう叫んだ。
たぶん、凄い苦労するのは間違いないだろう。
でも可能性は0では無い。
そう信じてやるだけだった。
そして前祝いと言う名の宴会が始まった。

まだまだ俺たちは、ひと花もふた花も咲かせるぜぇ!



FIN